煙が出ない燻製器はおすすめか?

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家庭用の燻製器には鍋タイプが人気です。

鍋タイプの燻製器の多くには「小型で扱いやすい」「密閉性が高く煙が漏れにくい」「温度が上がりやすく短時間の熱燻法に向いている」などの特徴があるためです。このことからも多くの販売店などでも鍋タイプの燻製器が推されています。

しかし燻製の仕上がりを重視するのであれば煙の出るタイプも選択肢に入れるべきです。

煙の出ないタイプは酸っぱくなる?

密閉性の高い燻製器は酸っぱくなるリスクがあります。

一般的な燻製器には空気穴が付いています。空気穴が付いていることによって空気の流れができて燻煙や水蒸気を逃がしながら燻製していくような形になります。しかし密閉性の高い燻製器では燻煙や水蒸気が閉じ込められるために不都合が生じます。

それが「燻製が酸っぱくなる」「チップの煙が出なくなる」などの問題です。

燻煙には分子量が小さいために水に溶けやすい有機酸(酸性を示す有機化合物)が含まれています。そのため食材の表面に水分が付着しているとその水分に有機酸が溶け込んでしまって燻製が酸っぱくなります。

また密閉性が高い燻製器は空気(酸素)が遮断されてしまうためにチップやウッドの火が消えやすくなります。

本格的な燻製は作りにくい?

鍋タイプの燻製器は熱燻法に向いています。

燻製には大きく3種類があります。それが高温で5~20分ほど燻製する熱燻法、中温で1~3時間ほど燻製する温燻法、低温で数日間にわたって燻製する冷燻法です。煙の出にくい(密閉性の高い)燻製器は温度が上がりやすく酸素が不足することからも短時間の燻製しかできません。

このことからも温燻法をする場合には蓋をずらすなどして煙を逃がすことになります。

このことからも可能であれば上部に空気穴の付いている「煙を逃がせる仕組みになっている燻製器」をおすすめしています。もちろん鍋タイプの燻製器が悪い(使えない)というわけではありませんが温燻法に興味があるのであれば扱いにくいと感じられるはずです。

個人的には鍋タイプと箱タイプを使い分けています。

台所燻製での煙の問題は?

台所で燻製をする方の多くは鍋タイプの燻製器を選びます。

私も例外ではなく最初に購入した燻製器は鍋タイプ(鉄製燻製鍋27cm)でした。確かに鍋タイプの燻製器は「煙を閉じ込められる」「片付けやすい」などのメリットがあります。しかし燻製に詳しくなるにつれて「煙を出した方が美味しくできる」「密閉性の高い燻製器では温燻法ができない」などのデメリットに気づいてきます。

ほどなくして燻製鍋の蓋にスペーサーを付けて煙を逃がしながら使うようになりました。

「台所で煙を出しても問題はないのか?」についての回答ですが、個人的には何の問題もないと考えています。事実、数年ほどは賃貸(アパート)の台所にて煙を出すタイプの燻製を楽しんでいましたが、退去時の立会いや費用などの点でも問題になることはありませんでした。

最近の換気扇(レンジフード)は優秀で壁紙を汚すこともありませんでした。

【まとめ】煙が出ない燻製器はおすすめか?

煙の出ないタイプの燻製器(密閉性の高い鍋タイプの燻製器など)は高温短時間で燻製する熱燻法に向いています。

小型で煙が少ないことからも扱いやすい燻製器であるといえます。しかし密閉タイプの燻製器には「燻製が酸っぱくなりやすい」「スモークチップやスモークウッドの火が消えやすい」「時間のかかる燻製には向いていない」などのデメリットがありますので煙を逃がせるタイプの燻製器の方が汎用性は高いといえます。