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燻製には食材による難易度があります。
たとえば生ハムやサラミソーセージなどは燻煙だけでも10日以上はかかります。定番のベーコンなどは燻煙時間3時間ほどですが温度管理(中心温度の管理)の難しさがありますのでそのまま食べるタイプのベーコンとしては初心者向きとは言えません。
また燻製器の種類によってもおすすめできる食材は変化していきます。
どのタイプの燻製器を使っているのか?
まずは使用する燻製器を確認します。
燻製は燻製器のサイズや形状によって得意とする燻製法(熱燻法、温燻法、冷燻法など)が変わります。基本的には小型であるほどに燻煙温度の高い熱燻法に向いており、大型であるほどに燻煙温度の低い冷燻法に向いています。
以下は燻製器による得意とする燻製法の違いです。
燻製器 | 熱燻法 | 温燻法 | 冷燻法 |
---|---|---|---|
小型燻製器 (鍋タイプなど) |
◎ | △ | × |
中型燻製器 (高さ40cm以上) |
〇 | ◎ | △ |
大型燻製器 (高さ80cm以上) |
△ | 〇 | ◎ |
また燻煙材の種類の違いによっても変化します。
スモークチップは温度の上がりやすい燻煙材ですがスモークウッドは温度の上がりにくい燻煙材になります。このことからも熱燻法ではスモークチップが好まれ冷燻法(または小型燻製器での温燻法)ではスモークウッドが好まれる傾向にあります。
一般家庭での燻製には熱燻法と温燻法が中心になります。
鍋タイプの燻製器におすすめの食材は?
鍋タイプの燻製器は熱燻法に適しています。
熱燻法とは温度80~140℃ほどで5~20分ほど燻煙する方法です。「煙をまとわせながら焼くようなイメージ」になりますので手軽にできる燻製法になります。熱燻法におすすめの食材には豚バラ肉、ソーセージ、塩サバなどがあります。
以下は豚バラ肉の調理方法(サンプル)です。
- 豚バラ肉(ブロック) … 適量
- ソミュール液 … 適量
- スモークチップ … ひとつかみ
- ブロックの豚バラ肉を用意して、肉の繊維を断ち切る方向で5mm厚ほどに切ります。ソミュール液を薄く塗ってからキッチンペーパーなどを使って水気を拭き取っておきます。
- ザルなどに並べて冷蔵庫で2時間ほど乾燥させます。気温の低い季節であれば風通しの良い日陰で風乾してもOKです。
- 鍋タイプの燻製器にスモークチップと豚バラ肉をセットします。熱源を入れて煙が出ていることを確認してから蓋をして20分ほど燻煙(熱燻法)します。
- スライス肉と熱燻法の組み合わせは燻煙と同時に熱が入ります(75℃1分以上の加熱が行われます)ので、食中毒の心配をすることなくベーコンのような風味を味わうことができます。
手軽に本格ベーコンのような風味が楽しめます。
また温燻法(50~80℃)でベーコンを作る場合のように「中心温度を確認しながら低温調理(パスチャライゼーション)する」「食べる前に加熱調理をする」などの手間もかかりませんので初心者であっても失敗しにくい燻製法です。
熟成時間も短くて済みますのでアウトドアなどにもおすすめです。
中型燻製器におすすめの食材は?
中型燻製器は温燻法に適しています。
温燻法とは50~80℃ほどの温度で1~3時間ほどかけて燻製する方法です。「煙をまとわせながら低温調理をするようなイメージ」になります。はじめての温燻法におすすめの食材はゆで卵、プロセスチーズ、さつま揚げなどです。
以下は燻製プロセスチーズの作り方(サンプル)です。
- プロセスチーズ … 適量
- オリーブオイル … 適量
- スモークウッド … 時間分
- 市販のプロセスチーズを用意して好みの大きさや形にカットしておきます。
- チーズの表面にオリーブオイルを薄く塗っておきます。
- 低めの温度での温燻法(50℃ほど)をします。チーズは温度差により水分が浮きやすい(汗をかきやすい)食材ですのでキッチンペーパーなどを使って適宜拭き取ります。
- 好みの色づきになるまで(3~4時間ほど)燻煙します。1日ほど風乾(または冷蔵庫で熟成)させてから食べます。
はじめは加熱調理されている食材をおすすめします。
温燻法は「煙をまとわせながら低温調理をするようなイメージ」と書きましたが食べる前に加熱調理をしなくても食べられるタイプの肉類(ベーコンなど)は温度管理の難易度が高いために初心者にとってはハードルが高すぎます。
食中毒のリスクを減らすためにも加熱調理されている食材をおすすめします。
【まとめ】燻製初心者におすすめの食材は?
燻製におすすめの食材は燻製器の種類や燻製法により異なります。
小型燻製器(鍋タイプの燻製器など)をお使いであれば熱燻法で作れる豚バラ肉、ソーセージ、塩サバなどがおすすめですし、中型燻製器(高さ40cm以上)をお使いであればゆで卵、プロセスチーズ、さつま揚げなどがおすすめです。
燻煙材の種類(スモークチップやスモークウッドなど)によっても変わりますのでまずは食材に合わせた燻製法で試してみることをおすすめします。